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【二度目の衝突試験】驚きの結果と開発の舞台裏に迫る

「今日より明日が良くなる未来」を目指して日々開発が進むmibot。mibotタイムズでは、その現在地をお届けします。

今回は、量産化への道のりにおける最難関であり、KGがこだわっている「安全性」において重要な「衝突試験」について。二度目となる試験の全貌をお届けしていきます。

法律上は義務のない原付ミニカー規格のmibotが、なぜこの試験に挑んだのか。そして、開発チームの熱い想いが詰まったその結果はどうだったのか…

 

 

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義務はなくても「安全」を最優先。KGの軸

超小型モビリティmibotは、法律上、一般的な自動車に義務付けられている衝突試験の基準は適用されない原付ミニカーという分類。

量産前の試作車両で行うこともあり、車体一台あたりにかかる費用や、組み立てに必要な時間も含めて、莫大なコストがかかります。

にもかかわらずKGモーターズがこの挑戦に挑む理由は、小型車が普及しきれていない要因の一つでもある「小型だから安全面が心配」という懸念を払拭したいという強い思いがあるからです。

そして何より、「自分たちが作ったものを、自分の家族や友人に『危ないから乗るな』と言いたくない」というCEOくっすん自身の想いが、この挑戦の根幹にあるのです。

 

車体開発リーダー、くんぼの挑戦

この衝突試験の要となる存在が、車体開発チームのリーダーであるくんぼ。

彼は前職から小型モビリティの衝突開発に携わっていたものの、当時は試験に辿り着くことはありませんでした。つまり、KGでその再挑戦をするということ。衝突試験への知識、そして想いは人一倍です。

「小型モビリティ特有の難しさというか。衝突性能は、エネルギーを吸収するためのストローク(距離)が重要なので、そこを確保しながら小型モビリティのパッケージを成立させることがすごく難しいです。」

 

プレッシャーを抱えるくんぼ。T2として最初の車両を組み立てながらつい「もったいないなぁ」と溢れてしまいます。

それもそのはず、今回の試験車両はこれまでの様々な課題が潰し込まれた、最新の車体。ウィンカーの位置やデフロスターの位置など、今ある車体の中で最も量産仕様に近いものです。

日々課題が生まれ、仮説検証を繰り返し、車体に落とし込み、試験をする。量産までの目まぐるしく開発が進む中での、メンバーの本音が垣間見えた瞬間でした。

 

競合を凌駕する独自基準「35km/h、3部位クリア」への挑戦

 

今回実施されたのは、2024年4月に行われた1回目の試験を経てさらに踏み込んだ安全性の検証です。1回目の試験では、ぶつかった後に乗員空間が確保できるかというのが目的でした。

前回記事はこちら

 

今回は、「人身障害値(ダミー人形が受けるダメージ)の計測」が目的。つまり、乗員空間が確保できた上で、その乗員へのダメージの数値を測るという、衝突試験において最終的な形態のもの。シュミレーションの難易度や試験自体の難易度も格段と上がります。

既述の通り、原付ミニカーには法令による衝突安全基準がありません。

そのため開発チームは外部の専門家の知見や同カテゴリの評価項目を参考に取り入れ、競合を上回る厳しい独自の基準を設定しました。

YouTubeより抜粋

 

この「mibot基準」をクリアすることは、実用域での衝突リスクを反映しつつ、このカテゴリーにおいて最高峰の安全性を証明することに繋がります。

 

二度目の挑戦。「人を守れるモビリティ」になるための改良点

車両の組み立て自体も、(一時はどうなるかと思ったものの)これまでよりもかなりスムーズに終わった様子。量産を視野に入れた作業の効率化も、進んでいるようです。

「これ帰れんよ」とくっすんに言われたやすま この後無事スムーズに終了しました

 

今回の試験車には、前回の試験結果を踏まえた数々の重要な改良点が盛り込まれています。


  • 【クラッシュボックスの進化】衝撃のエネルギーを吸収するクラッシュボックスの荷重特性が変更され、数も増加
  • 【ニーボルスターの追加】衝突時に乗員の膝を受け止め、頭部がハンドル等に近づくのを緩和するため、「ニーボルスター」という膝を保護する部材を新たに追加
  • 【レイアウトの微調整】シートベルトの特性や乗員位置のレイアウト調整も重ねられ、人身障害値を下げるための細部にわたる設計変更

上記以外にも数々の改良が加わり、KGの想いと技術が詰まったT2は、緊張感に包まれた試験現場へと運ばれていきます。

 

一度目の試験から一年半。開発の想いを背負った一瞬

試験当日、現場の雰囲気は緊張に包まれていました。シミュレーション上ではクリアしていても、現実はその通りにはいかないこともよくあることを、開発チームはよく知っていたからです。

衝突に向けて細かいセッティングが終わり、いよいよ衝突の瞬間が迫る中、彼らは自らの手で改良を施した車両を見つめます。

「あれから1年半?」「緊張してきた」「終わればいい思い出ですよね」「いや、終われば量産準備ですよ」

 

プロジェクト始動から積み重ねてきた努力と、mibotの未来が、この一瞬に。全員が、息を呑んでその時を待ちます。

「来るよ、来た、来た、来た!」メンバーが声を上げ、衝突の瞬間が訪れます。

前回よりも重い音を立てて衝突したT2。

メンバーは車体の確認をしますが、乗員空間の確保を目的とした前回と違い、目視ですぐに結果がわかるわけではありません。

「割と近いと思います、解析と」

シュミレーションに近い状態を確認できたものの、結果は1週間後のデータ次第。

祈るような気持ちだったのは、開発部だけではありません。

衝突試験の結果は、技術面の検証に留まらない、事業としての大きな意味を持っていました。

「組む企業からすると信頼性が本当にある乗り物でないと、広報リリースが打てない。ここを越えれば、納車に向けてもっといろんな情報が出していける」

この試験は、量産に向けて協力企業との連携を確かなものにするための、極めて重要なマイルストーンだったのです。

KGメンバーの胸中には、期待と不安が交錯し、長い1週間が流れていきました。

 

mibot、大きな一歩を踏み出す。

 

そして、結果が出た日。

 

結果のメールを開封するのにも、相当な緊張を感じざるを得ません。

誰もが固唾を飲み、画面を凝視します。その目に飛び込んできたのは…

「上限値は下回った結果となります」

思わず声を上げるくんぼ。添付された資料を全員で確認していきます。

静かだった部屋が、おお!という歓声と共に拍手に包まれます。

その結果は、全3部位において目標値をクリアした「オールクリア」という素晴らしいものでした。

「よかった、本当に良かった」「ほっとした」

様々な想いがあったこの試験を無事に成功させたくんぼは、思わず安堵の声。

改良した部分が想定通りに機能したこと、そして結果がシミュレーション結果に非常に近かったことを再確認し、量産化に向けた揺るぎない「安全」への確信に一歩進んだのでした。

 

「ここが安全へのスタートライン」

 

独自基準オールクリアという大きな目標を達成した後、CEOくっすんは、最前線で試験を進めていたくんぼとの出会いを、ふと振り返ります。

「くんぼが2023年の2月にエントリーしてきた時に、既に衝突の話をしてるんですよ」

当時からくんぼは、前職で成し遂げられなかった小型モビリティでの衝突安全への挑戦という、強い意志を持ってプロジェクトに加わっていました。

足かけ2年半、その核となって衝突安全の領域を走り続けてきたこと。それをKGで成し遂げてくれたこと。「本当に良かった」と、口下手なくっすんでさえも、喜びを口にしました。

「安全っていうところでは、スタートだと思う。今からまだまだもっとやっていきたいと思っています。」

今回の衝突試験の成功は、安全性への懸念を払拭し、mibotの信頼性を高めるための重要な「扉」を開いたにすぎません。mibotの開発は、この強固な安全性を土台に、今後もワクワクするモビリティとして、あらゆる観点からアップデートを続け、新しい未来へと邁進していきます。

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【mibot】量産へ最難関!小型EVで衝突試験に挑んだ結果…

 

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